袴 ~ 基本に忠実な丁寧な着付技術 ~

1.お手洗のご案内

横1_お手洗いのご案内-(4)

着物を着付たあとですとなかなか行きづらくなりますので、事前にお手洗のご案内をいたします。本日の体調の確認やその他不安な点などもお伺いいたします。

見極めポイント!

普段着慣れないお着物ですと、お手洗も大変です。事前にお済ませいただかないと安心してお着付に臨めない可能性があります。体調確認をしないと途中で気分が悪くなり着付けを中断しなくてはいけなくなることもあり、ご予定が大幅に変更になる可能性があります。

2.カウンセリング

横2_カウンセリング-(1)

お客様のお持ちのお着物や小物を拝見します。複数ある場合はお色味をお客様とご相談しながら決定していきます。袴と帯と着物の色合わせも一緒にしていきます。

見極めポイント!

お客様のお好みをお伺いしなかったり、複数ある小物などをカウンセリング時にお客様にお伺いせずに美容師の勝手な判断で決定してしまうとお客様のご希望がくみとれず、疑問や不安を残したままになってしまいます。

3.準備

横3_準備

お着物、小物はキレイに並べて準備します。まずはじめにご自身で足袋を履いて頂きます。必要はところはお手伝いいたします。洋服を脱いで頂き肌着を羽織って頂きます。

見極めポイント!

お着物はとても高価なもので思い入れがある方も多くいらっしゃいます。お客様のお持物の取り扱いには十分注意しなくてはなりません。お着物、帯、小物すべてを大切に扱わないとお客様に大変な損害を与えてしまいます。

4.肌着

横4_肌着-(1)

裾よけを紐が苦しくないように丈は少し短めに着付けます。肌襦袢を整えます。紐はゆとりのある締め方で襟の抜き加減を決めて、後ろの襟は少し広めに開けておきます。

見極めポイント!

肌着の紐は特にお肌に近い為締め加減に細心の注意を払います。紐がきついと後々苦しく感じますのでお客様が長時間お着物を着ていられなくなってしまいます。肌着を適当に着てしまうとお着物から出てしまう事もあります。裾除けを短く着付けないと袴から出てしまう可能性があります

5.補正

横5_補正-(7)

着物を綺麗に着る為に必要に応じてタオルを腰や背中やお尻に当て補正をします。形をあらかじめ整えたガーゼや細かく裂いた脱脂綿などを使ってお身体に合わせていきます。着崩れしずらい着付けの重要なポイントです。

見極めポイント!

お身体の形はお一人お一人違います。身体に合わせた補正をしなければ美しい着付けは完成しません。着崩れしずらい着付けなのか着崩れする着付けなのかは表に見えない部分を丁寧に行う必要があります。

6.長襦袢・伊達締め

横6_長襦袢・伊達締め-(1)

襟芯を再度確認して長襦袢を着付けます。長襦袢の裾は短めに着付けます。襟合わせ、襟の抜き加減をしっかり決めます。長襦袢の襟合わせがお着物の襟の美しさの決めてとなります。紐はややしっかりしめます。伊達締めをします。

見極めポイント!

長襦袢の襟合わせがしっかりしていないとお着物の襟の美しさに影響がでてしまいます。長襦袢の裾を短く着付けないと袴から出てしまう可能性があります。紐の締め具合も強すぎても苦しく感じますのでお客様が長時間お着物を着ていられなくなってしまいます。

7.着物

横7_着物-(2)

長襦袢の襟もとのラインに気をつけて丁寧にお着物を重ね、着付けていきます。着物の裾は短めに着付けます。腰紐は一番しっかり締めます。コーリンベルトを使用すると襟もとが崩れにくくなります。

見極めポイント!

お着物のしわを直さずに着付けを進めてしまうと、最終的な仕上がりが悪くなります。特におはしよりのしわをしっかり伸ばさないとだぶついた印象になります。着物の裾を短く着付けないと袴から出てしまいます。また着物の腰紐がゆるい事と着崩れる一番の原因となり、きついと長時間着ていられなくなる事があります。

8.半幅帯

横8_半幅帯-(3)

この後袴を上から締めるため、半幅帯の締め具合が苦しくないか気をつけながら帯をまきます。爪などで帯を傷つけないように気をつけます。お客様のお身体に合わせて帯結びの大きさを決めます。

見極めポイント!

帯の締め具合も重要なポイントです。締めすぎてもとても苦しく不快ですし、ゆるすぎても上から重ねる袴によってしわができキレイな着付になりません。バランスを見ずに帯を結び、身体に対して帯が大きいと太った印象に見えしまいます。

9.袴

横9_袴-(1)

ブーツ、草履に合わせ袴の長さを決めます。しっかり紐をしめます。ひだをキレイにして着付けます。リボンの大きさや結び方、小物合わせもお客様とご相談しながら行います。

見極めポイント!

ブーツにするか草履にするかで袴の長さが若干変わるため、長さを適当に決めるとバランスが悪くなります。紐の締め具合はきつくても苦しくなり、緩くても袴自体の重みでずれることがあります。リボンをしっかり結ばないと途中でリボンが取れ袴がおちてしまう可能性があります。

10.仕上がり

横10_仕上がり-(2)

鏡で一度全体のバランスを確認し、お客様にと一緒にお仕上がりをご確認頂きます。気になるところがあればお直しをします。最後にブーツ又は草履を履いていただきます。お手洗いの行き方や立ち振る舞いをお伝えいたします。

見極めポイント!

お手洗の行き方や立ち振る舞いや着崩れやすい個所をお伝えしないと、着崩れた時の対処方法が分からず外出先でお客様が困ってしまいます。これらをお伝えしないことは、お客様に提供した着付けに責任を持っていないことになります。

お仕上がり

苦しくなく着崩れしづらいお着付をご提供致します。

この記事を書いたスタイリスト情報

永井香(コミュニティサロン と和 / 訪問美容 と和:トップスタイリスト)
東京ヘアメイク専門学校卒。地域密着型の店舗で10年間従事。老若男女問わず、地域に根差したコミュニケーションで、顧客が絶えない人気店となる。そんな中、不慮の事故で左手首骨折により、一定期間の休職を余儀なくされる。リハビリ中には、美容室に行くことができないお客様の気持ちと、働きたくても働くことができない美容師の気持ちの2つを経験。このことが転機で、「訪問美容」「美容師のキャリアが活かせる店舗作り」を志す。2015年4月、訪問美容とユニバーサルデザインのサロン経営に参画することで、第2の美容師人生をスタート。

関連記事

コメントは利用できません。

ピックアップ記事

シャンプー

【シャンプーの歴史】 元々、紀元前に神様に祈る前の禊として行われていました。最初は水だけで流して徐々に泥で洗っていきました。泥には…

おすすめ記事

  • ヘッドスパ

    【ヘッドスパの歴史】 昔から医学として民間療法が盛んだったインドでは、…

  • 美容室の真実

    <ヘアサロンの利用回数> 日本お客様が1年間にヘアサロンを利用する平均…

  • 市販と美容室の使用薬剤の違い

    【市販のカラー剤と美容院のカラー剤は何が違うのでしょう?】 ①市販のカ…

ページ上部へ戻る